身体 PartⅢ 「正しい姿勢」前編
身体 PartⅢ「正しい姿勢」前編
姿勢は「習慣」からつくられ、「未来の身体」を左右する
前回は「重力と姿勢」そして「赤ちゃんのハイハイ」についてお話ししました。
私たち人間の身体は、重力に抗いながら進化し、赤ちゃんの発達過程を経て、自然と“重力に適応した理想的な姿勢”を獲得していきます。
今回は、「正しい姿勢」がなぜ大切なのか、そしてその姿勢がどのように心身の健康やパフォーマンスに影響するのかについてお伝えします。
【正しい姿勢がもたらすメリット】
「正しい姿勢」とは、筋肉・骨格・内臓・神経が無理なく連動し、最小の力で最大の効率を発揮できる状態のことです。
これは単に“見た目がキレイ”というだけではなく、私たちの体にとっては最も省エネで、調子が整うポジション。
例えば:筋肉がバランスよく発達することで、
- 関節や骨への負荷を最小限に呼吸が深くなり、酸素が全身に行き渡りやすくなる
- 自律神経が整い、ストレスに強い心身をつくる
- 姿勢が整った状態で行う運動は、効果が高く、ケガのリスクも低減
このように、姿勢を正すことはダイエット・スポーツ・健康・自己実現への土台になります。
【なぜ姿勢が悪いと注意されるのか?】
子どもの頃、親や先生に「姿勢が悪い!」と注意された記憶がある方も多いでしょう。
その理由は、単なる見た目の問題ではなく、姿勢が悪いことで将来的な不調のリスクが高まるからです。
例えば、頭の位置が前に出る“猫背”は、首や肩の筋肉に常に負荷がかかる状態になり、やがて頭痛・肩こり・疲れやすさにつながります。
さらに、姿勢の悪化は脳の働きにも影響を与えることがわかっています。
姿勢が良いと、頭の位置が安定し、脳への血流や神経の伝達がスムーズに保たれます。
逆に、姿勢が悪いと脳の働きが低下し、集中力や判断力が鈍くなる可能性もあるのです。
【日常生活に潜む姿勢のクセ】
私たちは、デスクワーク・スマホ・車の運転など、日々の生活の中で無意識に“楽な姿勢”をとっています。
ですがこの「楽」は身体にとっての「正解」ではありません。
- 猫背:肩が巻き込み、胸が潰れることで呼吸が浅くなる
- 反り腰:腹筋が弱く、腰が過剰に反ってしまい腰痛の原因に
- ガニ股や内股:股関節の可動性低下や膝への負担に
これらの姿勢は、歳を重ねるごとに身体の歪みや不調として表面化していきます。
【姿勢と学習・集中力の関係】
授業中に姿勢を正すよう注意された理由は、学習効率にも関係しています。
正しい姿勢で勉強すると呼吸が深くなり、脳に酸素が届きやすくなる
身体への負担が少ないため、疲れにくく集中力が持続する
背すじを伸ばすことで気持ちもシャキッとし、やる気も高まる
これは子どもに限らず、大人にも同じことが言えます。
デスクワークや読書、会議などでも「姿勢」が集中力・思考力・生産性を大きく左右します。
【悪い姿勢がもたらす影響】
悪い姿勢が続くと、身体にはさまざまな不調が現れます。
代表的な症状:
頭痛・首こり・肩こり・背中痛
腰痛・膝痛・股関節痛
胃痛・吐き気・便秘・下痢などの消化器症状
視力低下・集中力の低下
自律神経失調(動悸・めまい・不眠・イライラ)
身体は一つのユニットであり、姿勢の乱れは筋肉だけでなく内臓や神経系にまで影響することを忘れてはいけません。
【正しい姿勢は取り戻せる】
「姿勢を直したい」と思った時、それはもう第一歩を踏み出しています。
ただし、長年染みついた“悪い姿勢”は、意識だけで一瞬で直せるものではありません。
無理やり背筋を伸ばしたり、胸を張るのはかえって逆効果。逆に痛みを引き起こしてしまうこともあります。
まずは土台づくりから。
- 柔軟性の回復(ストレッチ・筋膜リリース)
- 血流の改善(ウォーキング・深い呼吸)
- 土台となる骨盤や背骨の可動性を高める
これらを通して、少しずつ「身体が自然に正しい姿勢を取れる状態」に近づけていきましょう。
【まとめ】
正しい姿勢は見た目だけでなく、心身の健康やパフォーマンスを高める。
姿勢は筋肉・骨格・呼吸・内臓・脳、すべてに関わっている。
子どもも大人も、姿勢改善は「今」からでも始められる。
まずは身体をゆるめ、整え、そこから正しい姿勢づくりへ。
次回、「身体 PartⅢ 後編」では、正しいウォーキングをテーマに、日常生活の中で無理なく姿勢を整える方法をお伝えしていきます。
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