身体PartⅡ 「赤ちゃんハイハイ」

身体 PartⅡ「赤ちゃんのハイハイ」

動きの原点は、赤ちゃんの成長過程にある。

前回の「身体 PartⅠ」では、人間が重力と共に進化してきたこと、そして姿勢の重要性についてお伝えしました。

今回はその姿勢や運動機能の“土台”となる、赤ちゃんの成長過程、特に「ハイハイ」の動きに焦点を当てていきます。


なぜ、今さら赤ちゃんの動きを学ぶのか?

その答えはとてもシンプルです。

赤ちゃんは「歩くため」に、自然と全身を使ったトレーニングをしているからです。


【赤ちゃんの動きに隠された身体のしくみ】

人は突然歩けるようになるわけではありません。赤ちゃんの成長は以下のようなステップを踏んで進みます。


STEP1:手足を動かす(原始反射〜自発的な動きへ)

自分の身体(特に手や足)を動かすことで、「自分の身体とは何か」を感覚的に学びます。

この段階で、体幹の安定の基礎がつくられ、五感と運動の連動が育まれます。


STEP2:寝返り・腹ばい

胸郭(胸まわり)を広げ、肺を大きく膨らませる呼吸の基礎をつくる。

背中(脊柱起立筋群)の筋力を養う。

肩関節・股関節の安定性や、肩甲骨の内転(引き寄せ)動作が発達。

※ここで「うつ伏せが苦手な子が多い」のは、現代的な育児環境(ベビーチェア・長時間の抱っこ等)により運動機会が制限されている影響もあります。


STEP3:四つん這い・ハイハイ

ハイハイは、全身運動の最終仕上げ。

肩・体幹・骨盤・脚すべてを連動させ、背骨の自然なS字カーブを形成。

重い頭を支えながら前に進むため、抗重力筋(姿勢保持筋)が鍛えられます。

この時期にしっかりハイハイをすることで、バランス能力・空間認知力・協調運動が発達します。


STEP4:つかまり立ち〜立位へ

膝裏をしっかり伸ばし、足首で重心をコントロールする能力が育つ。

重力に抗して立つ=自分の力で身体を支えるという感覚が芽生えます。

※このプロセスを経て、初めて「人として合理的な姿勢・歩行」が可能になるのです。


【姿勢と成長のつながり】

このSTEP1〜STEP4を通じて、赤ちゃんは自然と身体の“設計図”に沿った成長を遂げていきます。

この時期の運動が不十分だったり、何らかの要因で飛ばされてしまうと、以下のようなリスクが生じます。

生理的湾曲が不十分になり、猫背や反り腰など不良姿勢の原因に

骨盤・背骨の柔軟性や連動性が欠ける

肩・股関節など可動域の狭さやクセにつながる

内臓機能や呼吸機能にも影響することがある


【大人にも応用できる“ハイハイ”の効果】

赤ちゃんの動きは、大人にとっても正しい身体の使い方を思い出す手がかりになります。

現代人の多くが抱える以下のような問題に、ハイハイ運動は効果的です。


巻き肩・反り腰・フラットバックなどの姿勢不良

インナーマッスルの弱化

呼吸が浅い・胸郭が硬い

腰痛・肩こり・膝痛などの慢性的な不調

シンプルな四つん這いの動きでも、姿勢をリセットし、身体の本来の機能を取り戻すヒントになります。


【注意:ハイハイを妨げない環境づくりを】

現代の育児では、「歩行器」や「長時間のベビーシート」が日常的に使われています。

しかし、これらは赤ちゃんの自然な運動発達を阻害してしまう恐れがあります。

関節の発達が偏る

筋肉のアンバランスが生まれる

バランス能力が育ちにくくなる

私個人としては、歩行器はできるだけ使わないことを推奨しています。


【まとめ】

赤ちゃんは、自分の意思ではなく「本能」に従って身体を育てていきます。

私たち大人はその成長の過程を見守り、尊重することがとても大切です。

そして大人になった今でも、その自然な動きの原理は、健康的な身体づくりのヒントになります。

「身体を鍛える=筋トレ」ではありません。

「自分本来の身体の使い方を取り戻すこと」こそが、真のトレーニングであり、姿勢・動き・心身の安定を育てる最も根本的なアプローチです。

次回は、身体 PartⅢ「姿勢と呼吸の関係」についてお話しします。

赤ちゃんの動きから学んだ“姿勢の土台”を、呼吸とどのように結びつけていくのか、一緒に紐解いていきましょう。

— BUNGO



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